RECRUITMENT

メンバー募集

ラボメンバー募集

林Labは理研・CBS・多階層精神疾患研究チームとして再出発いたしました。
そこで以下のメンバーを募集しております。詳細はリンクをご覧になるか、直接お問い合わせください。

博士研究員・大学院生を募集

当研究室では、2光子顕微鏡を用いた光遺伝学、光イメージング、神経生理学、行動解析、分子細胞生物学などを用いた多彩なアプローチを組み合わせて、 脳高次機能疾患である精神疾患の原因解明および根治的治療薬の開発に挑戦しています。脳機能は人体の最後にして最大の不思議・ブラックボックスと言われており、現存する技術だけでは解き明かすことは出来ないでしょう。そこで、脳機能を解明する為の革新的な技術基盤の開発も精力的に行っております。本当に価値のある研究は長い苦しみが伴うものですが、サイエンスに対する情熱があれば克服でき、そして、それはかけがえのない知見になると思います。オリンピックを見て感動するのは何故でしょうか?それは頂点を極める徹底的にストイックな姿に、無条件で心が動かされるからだと思います。研究も同じです。私たちの研究室では、研究で金メダルを取ることを目指しています。それは、これまで誰も見出すことの出来なかった知見を誰よりも直接的な方法で明らかにし、そしてそれが医学現場に役に立つ知的財産となることです。もしあなたが研究室に参加し、脳の摂理を極めるという強い意志か、これまで直せなかった病気の治療法を見つけたいと言う純粋な気持ちがあれば道は開けるでしょう。しかも想像よりも簡単に開けたと数年後に分かるはずです。研究そのものが楽しく、自分が楽しいことをやった結果、Natureなどの一流誌に載ったり、賞を受賞したり、特許取得などで成功する「おまけ」までついています。それが研究職です。そんな世界で、一緒に金メダルを取りに行ける仲間を募集しています。電気生理もしくはプログラミング技術に精通している方は特に優遇いたしますが、一方で、Research mindと体力があればこれまでのバックグラウンドは問いません。 また上記の趣旨を理解している学生には自活できるだけの経済的サポートを行います。 将来のことなど心配せずに、安心して学業に励んだらよいと思います。道は必ず開けます。


<2025年追記>

最近、若い方からこんな声をよくお聞きします。

「本当に学位は3年で取得できますか?無駄な回り道はしたくありません」

「研究は好きだと思うのですが、研究者としてやっていく自信がありません」

「研究はしたいけれど、安定した仕事に就きたいです」

まず正直に申し上げると、そうした思いのまま研究に臨むのは、当研究室の雰囲気や期待値とは少し異なるでしょう。もし迷いがあるようであれば、他の研究室をご検討いただければと思います。ただ、一度だけ立ち止まって考えてみてほしいのです。「3年で博士号を取ること」「無駄な回り道をしないこと」は、本当に皆さんの人生における重要事項でしょうか?当室では、学生の皆さんが研究に集中できるよう、これまで所属した学生全員に十分な給与を支給し、研究に専念できる環境を整えてきました。また脳センターにはStudent Counseling Committee──脳センター内の他のPIと気楽に、そして守秘義務徹底の元に相談できる窓口──が設置されており、それは良く機能しているようです。すなわち、若い人が安心して失敗し、試行錯誤できる環境が整っていると言えます。

ライフサイエンス実験の現場は、成功よりも「失敗」が重なりやすい厳しい世界です。長時間の実験で、こんなに疲れて、何の結果もでない、自分は何をやっているんだと惨めになる日も多くあります。しかしその中で、論理的に考え、沢山のピースの中から正しいものを拾い上げて組み合わせる。大変な仕事です。このような暗中模索のなかで、「これは正しいかもしれない」と、微かな光が見える瞬間があります。そちらの方に進むと、それは幻視であることに気付き、再び落ち込みます。しかしそれを繰り返すうちに、光は徐々に強くなり、真実に向けて一歩一歩と理解が進むのです。はじめはゴミだと思ったデータの山が、ある時に急にピースが組みあがり、真実の輪郭が浮かび上がってきます。その瞬間に得られる高揚感──ドーパミンが迸るような興奮──は、この上ない喜びです。

「でも、失敗したらどうするんですか?先生は、既にPIになっていますよね。ただの成功者バイアスです。無責任なことを言わないでください。」

ごもっともな疑問です。私自身も数え切れないほど失敗を重ねました。今でも定期的に大失敗をし、いい年をしたBBAがギャン泣きしている夜もあります。だからこそ、失敗から学ぶ方法やメンタルの保ち方──そうした“失敗の乗り越え方”を、私やシニアの研究者が丁寧にコーチングする必要性があります。特に最近は色々思う所もあり、若い研究者の卵をサポートすることはシニア研究者の義務であり、そのためにシニアな立場の者こそが努力するべきだと考えています。

さらに付け加えると、研究には必ず「目的と社会的意義」があります。あなたが追いかける「生物学的問い」が、誰かの未来を変える一歩になるかもしれません。私たちは単に実験を回すだけでなく、発見を通じて社会に貢献することを大切にしています。研究の背景や応用可能性についても、随時ディスカッションしていきましょう。人生は長いです。近視眼的に考えることは勿体ないと思います。今や、人生100年時代と謳われる恐ろしい時代です。人間は、本気を出せば、幾らでも挽回できるとわたしは本気で思っています。ちなみに、わたしは本を読むことが好きです。好きな言葉の中に、中島敦の以下の文があります。

「人生は何事をも為さぬには余りに長いが、何事かを為すには余りに短い」

小説「山月記」の中の、日本文学史に残る名句ですので、御存じの方も多いかと思います。主人公の李徴が、自分の境遇を嘆きながらも、それを乗り越えようとする姿、自己を否定し、自分の人生を無駄に過ごしていると嘆くものの、彼が何かを成し遂げるために努力し、自分の人生を意味あるものにしようとする願いが表現されています。

しかし、実は、このあまりに有名な文の次に、以下のような文が続くことは比較的知られていないように思います。わたしはむしろこちらに衝撃を受けました。

「人生は何事をも為さぬには余りに長いが、何事かを為すには余りに短いなどと口先ばかりの警句を弄しながら、事実は、才能の不足を暴露するかも知れないとの卑怯な危惧と、刻苦を厭う怠惰とが己の凡てだったのだ 。」

どのような研究室に行こうが、アカデミアを去ろうが、それは人それぞれです。好きにすれば良いと思います。しかし、まだ何者でもない、そして何者にもなれる皆さんには、口先ばかりの警句を弄せず、才能の不足を暴露するかも知れないとの無意味な不安におののくことなく、刻苦を楽しんでほしいと思っています。